中級石油知識Q&A100



Y 価格など


   Q1 価格の違いについて

   A1 同じ地域にあるSSでも、SSにより同じ石油製品を異なる価格で販売している
      場合があります。
      その理由としては、仕入元である元売会社ごとの販売政策や収益性の違いに
      より、仕切価格自体に差が出てしまうこと、また事業者の運営方法(例えば、
      フルサービスなのかセルフサービスなのか)の違いや販売政策(利益重視型、
      薄利多売型、油外収益重視型等)の違いによりマージンをどの程度求めるのか、
      等によるものと想定されます。


    










   Q2 価格表示について

   A2 石油情報センターが2002年(平成14年)3月にSS店頭での価格表示について、
      石油販売業者に尋ねた結果によると、「常に行っている」(31.4%)、「一定の
      時期のみ行っている」(8.6%)、「行っていない」(60.0%)となっています。
      価格表示をしない大きな理由として、石油製品の価格は、一つのSSの中でも、
      数種類の価格が存在し、消費者にとってなかなか理解が得られにくいことが
      挙げられます。
      現金会員価格、フリー価格、掛売り価格、また灯油では店頭価格、配達価格等
      があります。
      また、メーカー(元売)によって製品特性が大きく違うこともなく、価格面だけが
      消費者にとっては判断材料となりがちなことから、各SSでは周辺との価格差を
      明らかにすることによって顧客を奪われたくないという心理から積極的に価格
      表示をしない傾向もあります。


    










   Q3 独禁法と販売業界について

   A3 2001年度(平成13年度)中に、石油販売業者の不当廉売行為に対する「警告」
      措置が2度採られました。
      石油販売業者の「警告」は1992年(平成4年)に北海道の事業者に出されて以来
      9年ぶりです。
      これらの行為に対する罰則規定がないこと等から、当該事業者にも反省が見られず、
      その効果、独禁法の抑止能力について不満が高まっているのが現状。
      このため、全石連として、公正取引委員会に対し、特に1991年(平成3年)に
      出されたガイドラインの改定(実質仕入価格及び総販売原価の明確化)等について
      要請を行いました。
      その結果、2001年(平成13年)12月、公取委は本会に対し、新たな石油販売業
      独自のガイドラインを示しました。
      この新ガイドラインには、旧ガイドラインでは明確に規定されていなかった「実質的
      仕入価格」について、元売からの事後的な価格補填等が含まれないとするなど
      判断基準を明確化したことや、元売が共同仕入を行おうとする販売業者との取引を
      拒絶することや、他の元売の商品の取り扱いを不当に制限することについても厳正に
      対処するとの方針が盛り込まれました。
      また、運営委託方式(コミッションエージェント方式)を用いて給油所を経営する場合に
      おける販売費用の内訳についても明確化されました。
      また、2001年(平成13年)4月に施行された独禁法違反行為に対する民事救済制度
      (私訴制度)に関しての実効性確保措置については、全石連の中に「独禁法問題
      研究会」(座長:村上政博一橋大学教授)を設置し、「制度を有効に機能させるため
      には、特許法に準じて相手方の帳簿書類等を提出させる文書提出命令の特則規定を
      独禁法に盛り込むこと」などを中間報告として取りまとめ、公取委等の関係方面に
      要望しました。
      (私訴制度の詳細については、.「\ Q3 私訴制度について」参照)


【参考】石油販売業における不当廉売「注意」件数
年 度 1996年度
(平成8年度)
1997年度
(平成9年度)
1998年度
(平成10年度)
1999年度
(平成11年度)
2000年度
(平成12年度)
2001年度
(平成13年度)
件 数 22 94 185 215 110 86


    










   Q4 V指数について

   A4 エッソ石油が1996年(平成8年)に導入した「SSのガソリン等の損益分岐点
      コスト指数」をV指数と言い、元売各社も相次いで導入しています。
      {総経費−(油外収益+灯油の粗利)}÷(ガソリン販売量+軽油販売量)で算出
      されるのが一般的で、その結果が「10」なら、ガソリンと軽油の粗利はg当たり
      10円で損益がゼロとなります。
      この指数の低下によってコスト競争力を高める狙いがありましたが、指数をそのまま
      粗利目標とする風潮によって、価格低下競争に拍車をかけている、とする見方も
      あります。
      指数(損益分岐点)を低下させるには、
                @ガソリン・軽油の販売量の増加
                A経費の削減
                B油外収益・灯油の粗利の増加
      が必要となります。


    










   Q5 灯油の配達料金について

   A5 石油情報センターの給油所石油製品市況調査(2002年(平成14年)3月)に
      よると、18g当たりの灯油について、北海道の店頭価格が747円に対し
      配達価格は778円となっており、配達に対する費用としては差額の31円という
      ことになります。
      同様に九州局の平均値では、店頭価格が815円に対し配達価格は944円と
      なっており、配達に対する費用としては129円ということになります。
      このような「差額の少なさ」は、寒冷地域に行くほど顕著になる傾向が見受け
      られます。
      寒冷地ほど、灯油の配達はサービス(無料)との意識が強く、SS側では、配達に
      要するコストを完全に転嫁できてないとも言い換えることができます。